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星の想い出ー母

「お星さまは綺麗やねえ。人間は死んだらみんなお星さまになるのよ。

お星さまもこっちを見てはるんやよ」

幼いころ、母の手に惹かれて夜道を歩いていると

夜空を見上げて母はよくそんなことを言っていました。

母はとても愛情深くて

近所の人からよく

「あなたのお母さんほど子供の事を思う人は見たことない」なぁんて言われるくらい

愛情深く私たち姉妹を育ててくれました。

母には不思議な力があって

顔の表情、言葉のほんの一言、足音、気配のようなもの

そんな些細な零れ落ちる様なひとつから

全てを察する力がありました。

心に重い病を抱えていた人が

母と話をしただけで、自らを傷つけることをやめ

日常に戻られたという事を聴きました。

また母が東京の病院で長期入院した際に

退院後、病院から私の方に電話があり

「お母さまに時々は、お越しいただけないか、

皆さんがとても会いたがっておられるのです。」

という、ご連絡をいただいた時はビックリしました。

なんでも、母と話していると、身体が良くなって

実際に検査の数値も良くなったという方が何人もいらしたそうなのです。

オカルトじみて聞こえるかもしれませんが

母は普通のおばちゃんです。

特に特別な宗教や信仰を持っているわけではなく

神社に行っては礼をし、お寺では手を合わせ

教会にも誘われたらバザーのお手伝いなどもしていました。

要するに、信心深い人なのです。

お空を見ても星を見ても花を見ても動物を見ても

赤ちゃんを見ても、神さまやねぇが口癖でした。

そんな母が亡くなったときは本当に悲しくて寂しくて

辛い日々だったけれど

ある日

母が大きな花になって、宙のどこかに浮かんでいるというイメージが浮かびました。

その花からはたくさんの新しい命が生まれていて

命は美しい花になって、宙を漂っている

歌ったり踊ったりしながら

夜空を見あげると　

流れているたくさんの星の花たち

ゆっくりと穏やかに

楽しそうに

その映像が心に流れ

私は夢中で大きな花を刺繍していました。