REIKA YOSHIMOTO
Gallery Exhibition Profile
 MyEmbroidery Tanosyu-kai Life

ー繍しく刺るな【utsukushikualuna】ー


「繍しく刺るな」を構成するエレメント

①太陽の塔・繍しく刺るな 大屋根・
続命縷(ぞくめいる)


表から見た大屋根




裏から見た大屋根

太陽の塔の後ろに回ると刺繍作品の
表側を見ることができます。





続命縷と太陽の塔




続命縷からも命脈が溢れています





続命縷の中






太陽の塔・繍しく刺るな 大屋根


刺繍の「繍」の字には「うつく(しい)」という読み方が存在します。
美しくあることが前提として求められる性質は
古来より装飾や宗教をはじめとした人々の生活、
営みに根ざしてきた工芸的な歴史を顧みれば当然の事のように思います。
しかし作品としての完成が表側であるならば、
針の運びや糸のほつれ、
ステッチをほどいた跡などが意図せず露呈する裏側には
縫いの迷いや葛藤が如実に現れます。

刺繍の裏側には
縫いの過程に生じる様々な思いが滲んでくるようで怖い、
怖いけれど私はこの恥部を大切にしたい。

昨年の太郎賞受賞作品では裏側の一部分を展示しましたが
今展では2017年の病床で見た太陽の塔、
そびえたつ太陽の塔に、
私の魂の横溢、勇気の無さやくじけそうになる弱い心を
突き破ってほしい。

そんな願いも込めて
これまでのほとんどの作品を裏返しました。



繍しく刺るな 続命縷(ぞくめいる)



くす玉と聞くと、祝い事で用いられる
割玉型の装飾を指す印象が強いですが、
日本で確認されている最古の記録は
平安時代にさかのぼります

元々は中国で生まれ
そのひとつは、続命縷の名称として
邪気を払い寿命を伸ばすための
「呪物」としてあつかわれていました。

本展では上から下へ向け
吊るす装飾物としてではなく

くす玉本来の呪術的な意味に立ち返ることで
「大屋根」を新たに産み落とされた命として、
地から宙へと打ち上げます。














②「雷人」「自凝島(おのころじま)



「雷人」・「自凝島」(らいじん・おのころじま)

「雷人」は岡本太郎先生の未完の遺作です。
未来永劫完成することのない
本作は、
いわばあの世とこの世を結ぶ作品であると言えますが、
今一度現生へと呼び戻すべく、
本来の「雷人」と刺繍版とでは上下が逆さになっています。
結界です。

2022年、「展覧会岡本太郎」の最後の展示室で「雷人」と向き合った時
「人間は最期の命がこと切れるまで叫んでいいんだよ、叫べ!叫び続けろ!創り続けろ!」という
太郎先生の声が押し寄せてきました。

制作中、エ☆ミリー吉元と作品の配置であれこれと布を動かしていた時、
布を大きく捻じった瞬間、
思わず「あっ」と叫んでしまいました
部屋の空気が動いたのです。ゆがんだのです。

時空がゆがむという体験を体感として生まれて初めて感じました。
通常、刺繍作品に施される貼り込みや額装をあえてせず、
移ろう布の影やシワ、糸目のうねりなども、
大地の「表情」であると定義し、
刺繍が持つ原始的、アナログな魅力に
大地の創世を重ね合わせました。













「繍国物語」




繍国は遥か宙の彼方に在る
すべての命が糸で創られている銀河です

embroidery galaxy

銀河の中心には
元始星母と呼ばれる巨大な胎花があります

元始星母は全ての命の還る所
命は花芯に抱かれ
芳しい煌蜜につつまれ癒さ

新しい命の種に生まれ変わります

命の種はメタモルフォーゼを
繰り返しながら

花になり

いつか星になる日を夢見ながら
宙を彷徨っています

傷ついた男や、
いのりカエルくん
ジャンヌ・ダルクに憧れている
ジャンヌ・ダーク姫をお供に

溢れる様な
愛の珠をまき散らしながら

ゆらゆらと
どこにいくのでしょうね。















有無相生ーバロン吉元



ゆっくりと歩み始める一匹の尺取虫。
ふと頭を上げれば視線が見合い、
先には一匹の野鳥が佇む。
次の瞬間、虫を待ち受ける運命やいかに。

バロン吉元は本作について、
自身の左手を観察しながら右手で筆を走らせた
いわば自画像であると語ります。

突如として二者を取り巻く緊迫の刹那。
一方で止まり木を思わせる左手の内部には
無数の魑魅魍魎が脈に息づき、
血を沸き立たせ、肉を踊りへといざないます。

本作は剣術家・宮本武蔵が江戸時代初期に描いた
紙本墨画「枯木鳴鵙図」(こぼくめいげきず)に
着想を得て制作されました。

武蔵の思想や兵法に傾倒し、自身もマンガ「宮本武蔵」
「五輪書」を執筆してきたバロン吉元。
枯木は一瞬にして置き換わる生と死、

それはまさに吉元れい花が
生と死のはざまで体験した
病室での出来事と重なります

また、手刺繍という事もあり
手をモチーフにしたものを考えもあったようです。






制作中のバロン吉元






























The c
opyright of this website belongs to Reika Yoshimoto.
The use of any materials on this website without permission is forbidden.

Copyright(C)2013 ReikaYoshimoto All Rights Reserved

麗花煌刺繍・ストリングアート・繍国物語・楽繍会は吉元れい花のオリジナルコンテンツです。
全てのコンテンツの無断使用、掲載を禁じます。当ホームページの著作権、すべての権利は吉元れい花に帰属します。